ウイスキーは実に様々な樽を使って熟成されます。
大きく分けると、初級でお話ししたバーボン樽とシェリー樽のほかに、ワイン樽やシェリー以外の酒精強化ワインを使った樽、ラム樽、ブランデー樽、テキーラ樽やビール樽なども存在します。それぞれの酒の特徴が付与されることにより、多種多様な風味を実現しています。
樽の違いを分かりやすく捉えるには「グレンモーレンジィ」が最適と考えます。
以下4種類のグレンモーレンジィを一度に飲むと、樽が与える影響がわかりやすいでしょう。
グレンモーレンジィはスコッチの中で初めてバーボン樽を使用した蒸溜所であり、また、90年代にカスクフィニッシュを一般的に流行らせた蒸溜所でもあります。
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まずは基本となるバーボン樽100%のグレンモーレンジィを飲んでみましょう。
バーボン樽は原酒の個性を最大まで引き出します。特徴は「軽さ」と「バニラ感」。
ちなみに「グレンドロナック」など基本的にシェリー樽熟成しか行っていないブランドのバーボン樽熟成の物を飲むと、よりその原酒そのものの個性を知ることができます。
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オロロソシェリー樽とペドロヒメネス樽でフィニッシュをかけた12年熟成のグレンモーレンジィ。
辛口でパワフル、そしてフルボディなオロロソシェリーの樽は熟成に使用されるとドライフルーツやタンニンの渋みが付加されます。
そして極甘口でソフトなペドロヒメネスシェリーの樽は熟成に使用されるとベリー系の甘みが非常に強く出てきます。
ラサンタは両方の樽を使っていますが、ボトラーリリースでは「オロロソマチュアード」「PXマチュアード」など個々の樽を使ったウイスキーも沢山ありますので、気になった方は探してみてください。
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ルビーポート樽でフィニッシュをかけた14年熟成のグレンモーレンジィ。
ポルトガルの酒精強化ワインであるポートワインには、ルビーポート、トゥニーポート、ホワイトポートと種類がありますが、中でもルビーポートの樽はボトラー等でも頻繁に使用されます。
カシスやベリーの甘さと粘性が付加され、非常にどっしりとした甘さになります。
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ソーテルヌワインの樽でフィニッシュをかけたグレンモーレンジィ。
フランスの貴腐ワインであるソーテルヌワインはレモンにパイナップル、白桃のような軽やかな果実感を付与します。
ソーテルヌカスクフィニッシュもボトラーや、オフィシャル蒸溜所の限定品で近年多く見るようになってきました。
シェリー樽、ルビーポート樽、ソーテルヌワイン樽は一般的によく限定品やボトラーズ等でも使われることの多い樽ですので、是非1度飲み比べて違いを探してみてください。
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